モンキーパンチさん死去〜なぜこのテーマで?〜
4月17日、ルパン三世の原作者であるモンキーパンチさん死去とのニュースが流れ、朝がた仕事をしていた自分は驚きました。ご高齢だったとはいえ、まだまだ元気だとばかり思っていたのですが…
平和博物館や平和問題のことを上げるブログでなぜこの話かというと、モンキーパンチさんの作品「ルパン三世」が自分に平和学習の引き出しを増やしてくれたきっかけになったからです。本人からもはや真意などを聞くことが叶いませんので、推察などが多くなりますが…。
もともとTVSPは見てたので興味はあったのですが、自分がルパン三世にめっちゃハマったのは大学時代、暇が増えたことで、なんか見るものないかなと思って、1stシリーズをレンタルし出したことからでした。
正直、最初は30分アニメということで、2時間の大作ルパン三世に慣れていた自分は物足りないだろうなと思い、見た1stシリーズ。
しかし、これが1話30分の内容とは思えないくらいに面白い。なぜ24話で終わってしまったのかと思うくらいに面白かったのを覚えています。
後から調べたり、モンキーパンチさんのインタビューなどから知ったのですが、もともと1stシリーズは大人向けアニメとして使ったことがきっかけだったらしいです。なので、1stシリーズで描くルパンはコメディ要素よりもダークサイドな面が多かった、それ故になかなか最初は人気が出なかったものの、再放送などで徐々に人気に火がついてきた…ということだったそうです。
たしかに大人向けと言えばそうかもしれません。実際、1stシリーズで、現金を造幣局で印刷して盗もうとするエピソードがあり、残業ばかりしててルパン達が盗みに行けず、待ちぼうけをくらうというシーンや、本来ならば逮捕ではなく死という形で迎えるはずだったのに、監獄に入れられた屈辱からそれを意趣返しに近い形で警察を騙して脱獄するエピソードなど、子どもでは理解が難しいだろうなというものもありました。
しかし、それだからこそルパンが今とは少し違う「悪役」の姿もきちんと描かれているのだと思います。
そして、このブログの趣旨に絡んだ話で、今の日本の人たちに見てもらいたいルパンの作品があります。
「ルパン三世 Green vs Red」です。
この物語の舞台は日本、しかも主人公は「二人の」ルパン三世という、これまでのルパン三世とは毛色が異なったものになっています。(以降ネタバレあり)
主人公はルパン三世と、ある青年ヤスオ。ヤスオはとある出来事をキッカケに緑のジャケットを羽織り、「ルパン三世」として行動を起こします。
ほぼ同時期、各国で偽ルパンが大量発生し、日本で逮捕される一方、赤のジャケットを着た本物のルパンも暗躍をし始めます。
そんな中で、ヤスオはとある日本の企業の保有する「アイスキューブ」というお宝に目をつけ、盗む計画を立てます。ルパンもまたそれを目をつけ、そのお宝を巡って対決するうちに、「ルパン三世とはどんな存在なのか?」をそれぞれの方向から問いかけられていく…というのが大まかな話の内容です。
この話は「モンキーパンチさんたちはそれを危惧してたのか?」と思える場面が非常に多くあります。
・舞台は日本
(ただし、設定として軍隊が民営化し、民間企業で軍需産業が成立した日本)
・お宝のアイスキューブの正体
(冷却ポットに保管された小型の核爆弾…なのだが、これは偽物で、アメリカの軍需産業がまだ開発している最中だった)
・戦争や平和に対する価値観が見え隠れする
(軍需産業の社長や銭形の上司は国を守るために武力もやむなし、もしくは積極的に利用するべきという考え、銭形の先輩刑事は原爆症を患いながらも、平和のためでも武力を使って欲しくないという考えなど)
この作品はOVA限定の作品なのですが、やはり内容がダークサイドなのもあって地上波ではオンエアーされたことのない作品です。
平和が揺らぎつつある今の日本だからこそ見てほしい作品ですので見ていただきたいです。今の日本がこれに限りなく近いものだからこそ・・・。