合縁奇縁・三度~ネタバレ要素あり~
7月4日。参議院選挙の告示と選挙戦が開始されたこの日、自分はここにきていました。
東京の豊島区にある「あうるすぽっと」。ここには図書館などもありますが、劇場もあります。今回の目的もここの劇場。
というのも…
このブログで最近、ちょいちょい出てきてる、大阪の劇団「そとばこまち」の芝居を観るためです。大阪を拠点にしてる「そとばこまち」は去年から東京での公演を実施するようになり、2年連続。その東京公演での芝居のタイトルは『のうみん』でした。
その舞台はこんな感じ。
普通は芝居の時って撮影とかNGなのですが、この芝居では舞台挨拶後に撮影タイムがあり、その写真は拡散も可能。芝居の特徴としては時代劇ということもあり、圧巻の殺陣あり、迫力のあるダンスあり、そして心を打つセリフや振る舞いがあり…と魅力満載でした*1。
ぜひ、「そとばこまち」の『のうみん』。
直に見てほしい劇団と芝居です。
ここからはネタバレの要素もあるのですが…。
『のうみん』の題材は江戸初期にあった天草・島原の乱、キリシタン農民と天草四郎時貞なのですが、この筋書きが非常に「今の」日本に酷似している。本当にそんな意図を持ってないのかと疑いたくなるほどに…。
寛永の大飢饉により不作が続く島原。しかしそれにもかかわらず重税を課し続ける大名と武士たち。その苦しみから脱出するために農民たちは決起することを決意。その最中で、農民たちは間違えて、先に決起しようと行動していた天草四郎時貞たちを襲ってしまう。負傷した四郎に代わり、島原の農民の一人である「鈴」が四郎の代役となって島原一揆を盛り上げていく。
一方、島原の大名・松倉勝家は自身の過剰な課税で、農民が反抗していることに慌てていた。その事実をごまかしつつ、松倉は幕府からの一揆鎮圧を命じられた板倉重昌とともに島原の一揆を急いでいた。さらに幕府では、「ある事実」を恐れる将軍・家光により、さらなる鎮圧の大将として松平信綱を送り込む。信綱はその姿勢に疑問を持ちつつ、配下の忍びを使って調査を進めつつ、鎮圧に向かう。
一揆が進むにつれて、優勢だった一揆側だったが、一枚岩でないことが徐々に明らかになり、さらには代役だった「鈴」の正体がバレる事態に。そして、幕府の恐れる「ある事実」というものが本物の四郎の血筋に関することだと発覚する。
一揆側に押されていた幕府軍は「ある事実」を知った信綱により、一揆側への戦術を変えたことで、形勢が変わる。そして、この一揆に参加していた剣豪・宮本武蔵を護衛に、一揆側に乗り込んだ信綱の妙案により、一揆側と幕府側は必要最低限の犠牲と最大限の覚悟の下、最後の決戦に挑む…。
あまりネタバレしたくないので、概要説明のようになっていますが、この詳しい芝居は10月の大阪公演にて観てほしいです*2。
ここで発信したいことは2つ。一つはこの題材は観方によってはさきほどの通り、「今の日本を示している」こと、そしてこの芝居をしているのが「大阪の劇団」だということ。
今の日本は参院選の選挙戦真っただ中です。それ以前から、安倍政権による強行採決、恣意的な国内外への金のバラマキ、身内に甘い忖度政治、格差が広がってばかりなのに消費税の増税、年金制度の崩壊、そして何より民意を無視した政治状況が当たり前になっています。それにもかかわらず、政権はこの原因がさも野党にあるように選挙戦では触れ回っています。一方で、少数派ではありますが、立件民主党やれいわ新選組のように、その政府を批判し選挙で民意を示すことで変えようという動きがあります。
この姿は先ほど記述した、島原の大名が重税を押し付け、それをごまかす為に農民の想いを無視して、一揆を鎮圧しようとする姿に通ずるものがあります。一方で、農民たちはその苦しみをどうにか変えようと一揆をして、訴えるという民意の発信をしていこうとする姿にも似ています。
つまりは、この『のうみん』という芝居は今の日本を、島原の乱の時代の日本に置き換えて考えるのにうってつけの作品と言えます*3。
そして、この芝居を観たことで、自分も何かできることをしたいという想いにもかられました。
そしてもう一つ、この芝居を打っているのが「大阪の劇団」だということ。
大阪と言えば、大阪都構想に執着し、大阪の仕組みを「改革」として壊されている都市です。市民病院はつぶれ、行政サービスの低下、さらには人権や平和教育の破壊によるヘイト運動の横行増加…。そんな大阪の街で、日本の未来を考えるきっかけをつくる題材を芝居として発信している劇団がある。
夢を追いかける、芝居にかける若者たちの想いはそこまで考えているかどうかはわかりませんが、芝居という形で日本を考えるきっかけを与えてくれる、しかも、それを大阪の劇団が行なっている…まだ大阪は人権や平和について失墜していないということの証明にもなる気がします。
現在、映画の「新聞記者」が非常に話題になっていますが、芝居を通して日本を考える…
そして、今の参院選をどうしていくかにつなげる、というのもありだと思います。
しかし、ことあることにそとばこまちの芝居と日本の大きな出来事が合致するとか、
偶然にしては出来過ぎだっての…。