ぴーすみゅーじあむへの足跡

このブログは自分の旅行した先で行ってきた戦争と平和についての博物館のことや自分の知った戦争と平和についての博物館の情報についてアップするマニアックなブログです。

大阪都構想の話〜理想の実現か、それとも…〜

11月1日、この日は大阪での住民投票があります。その住民投票は…

 

 

大阪市の廃止と4つの特別区に再編成する大阪都構想の是非を問う

 

ものです。

 

これはかつて橋下徹氏が進めていた「大阪都構想」を、現大阪府知事である吉村洋文氏が修正・追加して提案された「大阪都構想2.0」、「大都市法」に基づいて行われることになった住民投票です。

 

 

しかし、橋下徹氏が進めていた「大阪都構想」は2015年の住民投票で反対派がわずかとはいえ多く、橋下徹氏は当時の市長を辞職するという形で一旦決着がついたものです。

 

 

なぜ、また「大阪都構想」への賛否を問う投票をするのか?

 

 

 

もともとこの「大阪都構想」は、大阪府大阪市による「二重行政」を解消して、新たな大阪の体制を作る、というものでした。

 

この「二重行政」により、大阪府大阪市によるそれぞれの政策の押し進めは、橋下徹氏がかつて表現した「倒産寸前の会社」の大阪に至らせることになりました。

 

 

その後、橋下徹氏による府政、市政により大阪は改善の兆しを見せ、辞職した後もおおさか維新の会や、大阪府知事の吉村洋文氏、大阪市長松井一郎氏に引き継がれ、大阪の政治が進められてきました。

 

 

この維新の連携の最たるは、新型コロナウイルス対策での「大阪モデル」に現れているとされています。

実際、ほかの都道府県よりも現実に鑑みながらも独自の政策や対応を行なった吉村氏や松井氏のコロナ対策は、政府や東京都のコロナ対策よりも対応していたと思われます。

 

 

ならば、今後もほかの面でも大阪府大阪市がこのように連携すれば「二重行政」がかいぜんされるからいいだろうという話になります。

しかし、吉村氏はこの状態を「人間関係による奇跡的な状態に過ぎない」と表現し、この連携をより強固にしつつ、大阪の行政体制をより改善するために「大阪都構想」を再び立ち上げることになりました。

 

 

経緯はさっくりとこんな感じ…だと思います。しかし、いまいちよくわからない。そこで今回、

 

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大阪府府議会議員で、大阪都構想に同調する松浪ケンタ氏が著者である大阪都構想2.0ー副首都から国を考える』を読んでみました。

 

大阪都構想」に至るまでの経緯や、橋下徹氏が進めた「大阪都構想」を改善した新「大阪都構想」がどういうものなのかもいうのを示したものでした。

 

 

 

それを読んでみた感想は、大きく分けて二つ。

 

一つは、このシステムが本当に確立できるならば、「大阪都構想」は二重行政を解消できる可能性があるということ、

 

もう一つは、大阪都構想」の影で大変な思いをしている人たちのことが全く顧みられていないということ、

 

です。

 

 

たしかに著書を読むと、過去の大阪府大阪市がいかに連携のなく、張り合いばかりの関係だったかということや、「大阪都構想」の最初の住民投票こそ反対が多かったが、それに至るまでの過程で、国をも動かしていたことなどが分かりました。

 

また、以前よりも財源や区分け、行政の権限、投票の格差などの面で改善をし、それぞれの新たな区分けでの地域で、連携と切磋琢磨しうるであろう制度にしようとしていることも分かります。

 

 

これだけ見ると、今回の「大阪都構想」はいいじゃないかと思われるかもしれません…。

 

 

しかし、そこで記載されているのはあくまでも行政システムに付帯してあることだけであって、そこにいる大阪の住民については、あくまで数値上のものしか提示されていません。

 

つまり、

 

そのシステムで改善が図れるのは人ではなく、お金や行政の改善だけな印象を受ける、

 

ということです。

 

 

 

大阪府大阪市は無駄をなくすためにいろんな事業の見直しや、廃止などを行なってきました。しかし、それによってこのブログに関することで、一番に言えることがあります。

 

 

それは、平和教育や人権教育の凋落です。

橋下徹氏の府政や市政の時点で、平和学習の場であるピースおおさかは展示内容をかつてより縮小、人権博物館は市との対立が進んだ結果で展示内容の変更だけでなく、閉館まで余儀なくされました。

 

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それで何が起こったか。

沖縄での大阪府機動隊の「土人」発言、

それに対する松井氏の「土人発言の擁護」、

大阪の繁華街でのヘイトスピーチの台頭、

かつては「ウケていた」人への弄り問題、

授業ではなく試験で人の優越を測ろうとする教育のあり方…

 

 

ニュースにされていませんが、確実に大阪で本来あったはずの「人情」が減っているように思えます。それがおそらく、「大阪都構想」に反対している人たちの、「住民サービスの低下」に繋がっているのだと思います。

 

 

 

さらに、もしこの「大阪都構想」の投票で賛成が多かった場合、大阪市は強制的に廃止になります。

というのも、今回の住民投票は「大都市法」と呼ばれる法律に基づくもので、法的な拘束力を持つものだからです。

 

つまり、賛成すれば大阪市はなくなるしかないのです。反対が多ければそれを避けられ、また新たに大阪を考える時間を作れるようにも思えますが…。

 

 

本来ならばもっと早くに書く予定、しかも本来書きたかったことをやめて書いた内容。

 

 

今更ながら、「大阪都構想」に対して少しでも真剣に考える人が増えてくれればと思います。

正直、今の大阪の人たちはこれを他人事にしてるように思えるので…。

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